※ゲスト講師の阿久根 賢一氏
2018年6月19日、人間生活学科の片山千佳専任講師が担当する「生活と福祉」の授業にゲスト講師として社会福祉法人 福祥福祉会 理事長 阿久根 賢一氏をお招きし、ご講演いただきました。
「自立・自由度の高い福祉で社会に貢献する」という法人理念を掲げる阿久根氏から、「社会福祉施設の運営と管理」というテーマをもとに、日本が抱える社会保障の問題点や、今後必要とされる社会福祉サービスについて講演していただきました。
【圧倒的に人材が不足している社会福祉法人】
高齢者、障がい者、子どもが生活に困ったときに様々な福祉サービスを提供できるのが社会福祉法人です。
国民の4人に1人が65歳以上という超高齢化が進む日本にとって、福祉サービスは必要不可欠。
しかし、全国に約2万ある社会福祉法人のうち、大半は零細・中小企業。
本当にサービスを必要としている方が支援を受けられないだけでなく、慢性的な人手不足が従業員の体力を削ることで、サービスの悪化を招き、支援を受けている方々にもしわ寄せが及ぶケースもあります。
【財源を確保できない日本の社会保障】
年金、医療、介護、児童手当や失業対策など、社会保障制度は様々なかたちで国民を支えくれています。そんな日本の社会保障制度の財源は社会保険料と公費(税金など)が主です。
しかし、1年間で必要な社会保障費は、保険料や公費ではまかないきれず、足りない分を国の借金(国債)で補っているのが現状です。
このままの状態が続くと、どんどん国の借金が膨らむばかり。日本の社会保障は、人手不足と財源不足という2つの大きな問題を抱えているのです。
【これからの日本には自助と互助が必要】
これからの日本に必要な考え方は自助と互助です。
自助 = 自分で自分を助けること
互助 = 家族、企業や地域コミュニティで共に助けあうこと
将来自分が高齢者になったとき、介護がなくても普段の生活を送れるよう若いうちから運動と食事に気を付ける。病気予防を徹底する事で病院の利用回数を減らす。近所の住民同士のボランティアでお互いに助け合う。何か困ったことがあったときに保険料や税金に頼ることなく、生活を送れる環境づくりがとても大切です。
こういった努力を積み重ねることで、本当に援助が必要な方々に社会福祉サービスが届くようになるのではないでしょうか。
【最後に阿久根 賢一氏から学生にメッセージ】
授業の最後に阿久根氏から「福祉サービスの基本理念は『自立した日常生活を営むこと』です。できないことを補ったり、できないことをどうやったらできるようになるのかを考えるのが福祉サービス。福祉の業界に進みたいと考えている学生の皆さんは、どういう支援をすれば自立につながるのかを一度じっくり考えてみて下さい。」とメッセージをいただきました。
日々法人運営でご多忙な中、学生たちのためにご講演いただき誠にありがとうございました。
【講師プロフィール】
阿久根 賢一氏 (あくね けんいち)氏
社会福祉法人 福祥福祉会 理事長
きみの可能性を、見逃さない。
羽衣国際大学