羽衣TODAY

プロジェクト演習「堺大空襲 次世代の語り部育成 第二期」



2024年度後期に実施された「次世代の語り部育成」プロジェクト(科目担当:水飼先生)が、今年度も引き続き実施されることとなりました。本プロジェクトは、堺市市民人権局ダイバーシティ推進部人権推進課と連携して進められています。

この取り組みは、語り部ボランティア(ピースメッセンジャー)の高齢化に伴い、語り部活動の継続が難しくなっている現状を受けて始まったものです。学生たちは、戦争を実際に体験した方々から直接お話を伺い、その証言を次世代へと語り継ぐ「次世代の語り部」としての役割を担います。

第二期では、昨年度の活動を見て、多くの方々から協力したいという声があがり、学生に加え、多くの一般市民の方々も参加し、活動の輪がさらに広がりを見せています。

   

4月27日(日)と29日(火)には、堺市平和と人権資料館にて、14名の戦争体験者の方々から貴重な体験談を伺いました。

— 焼夷弾が降り注ぐ中、偶然出会った羽衣の女学生と命からがら逃げ延びた方
— 操縦士の顔が見えるほどの至近距離から機銃掃射を受け、必死に避難した方

戦争体験者の皆さんが口をそろえて語ったのは、「食べるものがなかった」ということでした。カエルを獲って火であぶって食べた経験や、家畜のエサである硬いトウモロコシで作ったパンのようなもので空腹をしのいだ記憶など、当時の厳しい食糧事情が語られました。今でもトウモロコシを口にできないという方もいらっしゃいます。語りながら当時を思い出し、涙ぐまれる姿も見られました。

  

参加した学生や市民からの多くの質問にも、丁寧にお答えいただきました。

  • 「戦争に勝つと思っていましたか?」
  • 「空襲後の市内のにおいは、どのようなものでしたか?」
  • 「当時のことを、ご家族に話されたことはありますか?」

なかでも印象的だったのは、「戦争が終わった時、どう思われましたか?」という問いに対して、

「正直、負けたけど、ほっとしました。」

と語られた言葉でした。

戦争の記憶を風化させず、平和の尊さを次世代に伝えていくことの大切さを、改めて感じさせられる機会となりました。

 

今後も本プロジェクトの進捗状況を随時お知らせしていきます。