「地域開発論A」等(吉村宗隆先生担当)では、産学連携の一環として、
南海電鉄の取り組む社会課題について現場の「生の声」に学ぶ授業を実施しています。
毎回、南海グループ企業の様々な部署の方にお越し頂いており、第4回(10月16日)は、
eスタジアム株式会社の加藤寛之氏よりeスポーツによる地方創生についてご講義がありました。
近年ではオリンピックの種目になるなど世界的な広がりを見せているeスポーツ。
南海沿線では泉佐野市が「eスポーツ先進都市・泉佐野」としてeスポーツに力を入れており、
南海電鉄およびeスタジアムが参画し、現在では競技人口が5億人を超えるフォートナイトの
アジア最高峰の大会が開催されています。
また、今年8月にオープンしたなんばパークス1階のeスタジアムなんば本店では、
eスポーツをプレイするだけでなく、ゲームクリエイタースクールを開催するなど、
次世代人財の育成にも力を入れています。幅広い世代が安心してeスポーツを楽しめるよう
明るく開放的な空間づくりがされている施設内には、つぼ市製茶監修のお茶の健康成分を
活かした日本茶カフェもあり、従来のゲームセンターやeスポーツ施設の薄暗いイメージとは
隔世の感があります。
・eスタジアム コーポレートサイト https://estadium.co.jp/
・eスタジアム ストアサイト https://e-stadium.jp/
eスポーツについてニュースで目にする機会が増え、一般的な認識が高まりつつある中、
eスタジアム株式会社では、eスポーツを音楽やダンスと同様に文化として成長させること
を企業理念としています。また、「eスポーツを通じた社会課題の解決による地方創生」を
ミッションとしており、自治体や企業と共催する様々なイベントを通じて社会的認知を広
げています。
2023年から続けて実施された「マイクラでまちづくり~小学生1000人で夏の自由研究2024」
(株式会社関西都市居住サービスとの共催)では、和泉中央駅周辺を再現したバーチャル空間
(マインクラフト)に、小学生それぞれが自分の好きな家を建て巨大な街を完成させます。
地域における「子育て支援」を目的とし、子どもたちの好きなことを通じて、創造力・実行力
を伸ばす機会を提供されました。
また、岐阜県で開催された交通安全のイベントでは、岐阜県警協力のもと、親の手を離れて
通学することで交通事故の危険性の高まる子どもたちを対象に、リアルドライビングシュミ
レーター『グランツーリスモ7』で自動車の運転を疑似体験することで、ハンドルの重さや
ブレーキが急に効かないという危険性に気付いてもらい、交通安全の意識向上につなげました。
講義後の質問では、子どもがゲームに依存してしまうことへの懸念の声もあった一方で、
授業後にはまちづくりとeスポーツについて語り合う姿も見られ(上写真)、eスポーツが単なる
ゲームではなく、社会課題の解決手段として社会的な認知を広めていることを実感しました。
今回の講義を担当された加藤氏は、南海電鉄入社後に一級建築士として南海電鉄のまちづくり
に携わるなかで、家やビルを建てたり壊したりすることが街づくりではなく、人と人が繋がり
夢を語り合い、その思いによって街は変えられること、街をつくるのは「人」であると考える
に至ったそうです。講義中に紹介頂いたイベントは、eスポーツがまちづくりに寄与し、eスポー
ツの「人と人とのあいだにあるデジタルコミュニケーションツール」(加藤氏)としての可能性
を感じることができました。なんばパークスに開設されたeスタジアムなんば本店、その背景に
ある南海電鉄の展望にふれるご講義でした。
次回(10月23日)は、「グレーターなんばのまちづくり」を予定しています。