「地域開発論A」等(吉村宗隆先生担当)では、産学連携の一環として、
南海電鉄の取り組む社会課題について現場の「生の声」に学ぶ授業を実施しています。
毎回、南海グループ企業の様々な部署の方にお越し頂いており、第3回(10月9日)は
南海電鉄事業戦略部“DiverCity”担当の林秀樹氏より海外人財ビジネスについてご講義
がありました。
南海電鉄ではネパールのIT人財を企業に紹介する事業「Japal(ジャパール)」を展開
しています。 “鉄道会社がなぜ海外人財ビジネスを手掛けているのか?” そんな素朴
な疑問に丁寧に答えるように南海電鉄が目指す理念について、またネパールと日本の
IT人財に関する社会課題をどのように捉え解決しているか、分かり易くお話頂きました。
南海電鉄は“2050 年の企業像”として「沿線への誇りを礎に、関西にダイバーシティを築く
事業家集団」を掲げています。ダイバーシティとは、多様性(diversity)あふれる街(city)
を表現した言葉で、アジアと直結する関西国際空港を沿線に持つ鉄道会社として、外国人を
含む多様な人々が「日本で最も住みやすいと思えるまちを、沿線の人々と共に創っていく」
という思いが込められています。ネパールと日本を橋渡しする「Japal」の取り組みは、そう
した使命の一環として展開されています。
・南海電鉄「2050年の企業像」https://www.nankai.co.jp/ir/management/corporate-image
・「Japal」https://japal-nankai.com/)
では、なぜネパールのIT人財なのか?ネパールはインドと中国に挟まれた内陸国のため物流
の難しさがあり、国を挙げてITと観光を注力産業としています。また、英語が話せること、
日本人とも共通する協調性に富んだ国民性も強みです。「Japal」は、企業に人財を紹介するだけ
ではなく、来日前及び来日後の日本語教育、渡航費用・ビザ代の負担、また、交流会を開いて
ネットワークづくりを支援するなど日本での安定した生活環境を築くために腐心をされています。
この点については、”企業からの紹介料は一般的な人財紹介ビジネスの相場と変わらない一方で、
その紹介料から就労者のサポート費用に充てていることが今後の事業を考える上では議論すべき
事項としてある”と率直に述べられていました。
授業後には多くの質問がありました。「紹介料を上げずに就労者をサポートすることに周囲
から反対意見はなかったのですか?」という切り込んだ質問に対しては、“日本人と外国人
とが共に仕事ができるような文化をつくるための投資という側面もある”との回答がありま
した。海外人財紹介という難しい事業を担う矜持と、南海電鉄が目指す「ダイバーシティ」
像が垣間見える素晴らしい講義、質疑応答でした。
次回(10月16日)は、「eスポーツ×地域創生まちづくり」を予定しています。