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羽衣国際大学

今日の出来事

HAGOROMO TODAY

平成30年度 羽衣国際大学卒業証書授与式を挙行しました2019年3月17日


※式辞を述べる吉村学長

平成31年3月17日、平成30年度羽衣国際大学卒業証書授与式を執り行いました。

多くのご来賓ならびに保護者の皆様ご臨席のなか、現代社会学部97名、人間生活学部108名、合計205名に、吉村 宗隆学長から卒業が許可されました。

卒業証書授与の際には、学科を代表する卒業生に吉村 宗隆学長から、卒業証書が授与されました。

また、ご臨席いただきました竹山 修身堺市市長、小林 眞一高石市副市長、および同窓会「美羽会」会長濱下 恭子様から、卒業生へ向けてご祝辞をいただきました。


学長式辞

早春の爽やかな息吹が感じられる今日の佳き日、関係者各位多数ご臨席のもと、ここに平成三十年度、羽衣国際大学卒業証書・学位授与式を挙行できますことは、本学にとって大きな喜びであります。

とりわけ、年度末の公私ご多用の中を、ご臨席賜りました竹山 修身堺市市長、小林 眞一高石市副市長を始め、多くのご来賓の皆様には、心より御礼申し上げます。

また卒業生の保護者の皆様におかれましては、喜びもひとしおのことと、お祝い申し上げます。

ただ今、現代社会学部97名、人間生活学部108名の卒業生に「学士」の学位を授与致しました。

卒業生の皆さん、改めて、ご卒業おめでとうございます。

本学の全ての教職員を代表して、心からお祝い申し上げます。

皆さんは、明日より社会に巣立つことになります。

これからの社会では厳しい試練が待ち受けていると思ってください。

「試練」といえば、先月、競泳女子の池江 璃花子選手が自ら白血病であることを公表しました。

昨年のアジア競技大会の競泳6種目で優勝し、日本人初となる大会6冠を達成し、MVPにも輝きました。

来年に迫った東京オリンピックでは誰もがその活躍を期待した彼女が、重篤な病魔に侵されていることを知り、私たちは大きな衝撃を受けたのであります。

ただその彼女が、Twitterで、「神様は乗り越えられない試練は与えない、自分に乗り越えられない壁はないと思っています」と、語っていることに、むしろ勇気づけられたのは私だけではないと思います。

彼女は今までの水泳の世界とは全く異なる、これまで経験したことのない道を歩まなければならないのです。

このような厳しい試練となるかはともかく、皆さんもこれからの社会人生活では、多くの困難に立ち向かわなければならないと思ってください。

さて、平成の時代はあとひと月ほどで終わり、新しい時代へと変わっていきます。

昭和は「戦争の時代」、平成は「災害の時代」という言い方もなされているようですが、ややネガティブな言い方のように、思います。

学術文化の面からみると、我が国の昭和のノーベル賞受賞者が、7人であるのに対して、平成でのノーベル賞受賞者は20人にのぼり、平成はノーベル賞受賞者が大幅に増加した時代ともいえるのです。

昨年も本庶 祐博士が医学生理学賞を、受賞されました。

そこで皆さんは、ノーベル賞受賞者というと、どのようなイメージを持つでしょうか。才能豊かな研究者が一途に研究に打ち込み、注目をあびながら栄光に浴する、というように思われる人も多いかと思います。

しかし、一人ひとりのノーベル賞受賞者の足跡をたどると、決してそのように、順調な歩みを続けた人達ばかりではないことがわかります。

iPS細胞研究で有名な、京都大学 iPS細胞研究所所長の山中 伸弥教授も、そうしたお一人ではないかと思います。

周知のとおり、iPS細胞の研究は、今日再生医療はもちろん、病気の仕組みの解明や薬の開発に至る、広範な医療分野での応用が試みられていますが、その開発の成功により山中教授は平成24年、2012年にノーベル医学生理学賞を受賞されました。

もともと自ら、何度も骨折を経験したことのある山中教授は、医学部を卒業した後は、整形外科の臨床医になろうと考えていました。

そのために外科手術などの研修を受けていました。ところが、山中教授は手術があまり得意ではありませんでした。

うまい人なら20分で終わる簡単な手術に、2時間もかかることもあり、指導医や看護婦さんはもちろん、患者さんにまであきれられてしまいます。

厳しい指導医からは「お前はほんまに邪魔やから、ジャマナカや」と言われ、落ち込んでしまいます。そこで臨床の道を断念し、大学院で基礎研究の道に進まれます。

その後さらにアメリカにわたって研究を続けられます。ただアメリカでは研究環境には恵まれるのですが、なかなか思うような研究成果を上げることができません。

ふたたび日本に戻ってからは、研究環境が大きく変わってしまい、その点でも苦労されることになります。アメリカでは研究だけすればよいという環境にありましたが、帰国した日本では、いろいろな雑用もこなさなければならないからです。

研究用にアメリカから持ち帰った3匹のネズミが、1ヶ月で20匹に、半年で200匹となり、研究をしているのか、ネズミの世話をしているのか、わからない毎日になってしまいます。それでもめげずに研究を続けられますが、ご苦労はまだまだ続きます。

自分の基礎的な研究がまわりの研究者らに、理解されないのです。

「もっと医学の役に立つことをした方がいいのではないか」、とさえ言われてしまいます。

ご自身も、自分がしている研究は本当に人の役に立つのだろうか、とだんだん落ち込んでいき、朝になっても布団から起きられなくなってしまいます。

そして下手でも手術をやっているほうが、まだ人の役に立つかもしれないと、本当に研究をやめようと思われます。

そして採用されることはないだろうと、研究者をやめる踏ん切りをつけるつもりで応募した研究室に、幸いにも採用され、そこでようやくiPS細胞の研究を、本格的にスタートすることができたのです。

このように、世界的な研究を行う研究者も、決して平坦な道を歩んでいるのではありません。

「世界の頭脳」と呼ばれる研究者であってさえ、なお悪戦苦闘して自分の道を切り開き、努力を積み重ねて初めて目標を達成している、ということは、私たちにとっても、大きな希望と勇気を与えてくれるのではないでしょうか。

本日卒業される皆さんも、社会にでるということは、苦しいことだと覚悟してください。

しかしそれは決して自分だけのことではなく、むしろ当たり前の事であり、そして自分が前進しているからこそ苦労もある、と思ってほしいのです。

何か壁にぶつかって、それでくじけてしまうのではなく、むしろ前進している証拠だと思って乗り越えていってほしいのです。

明治、大正、昭和をいきた高村 光太郎の「道程」という詩は、次の一節で始まります。

 

「僕の前に道はない 僕の後ろに道は出來る」。

 

これから社会にでる皆さんの前に道はありません。

皆さんの後ろに道ができるのです。

平成という時代はもう終わりです。

まもなく始まる新しい時代は、皆さん自身で切り開いていってください。

そのための準備は本学でできたものと思います。

本学で学んだ皆さんの、熱意と努力によって、新しい時代が、作り上げられることを祈って、平成最後の卒業式の式辞といたします。

 

平成三十一年三月十七日

羽衣国際大学  学長    吉村 宗隆


●卒業証書を授与された卒業生代表

[放送・メディア映像学科]
・片野 悠暉さん

[現代社会学科]
・湯森 愛里さん

[食物栄養学科]
・玉田 優さん

[人間生活学科]
・福田 明里さん

●学長特別表彰
※在学中の学業、課外活動において、優れた成績を修めた者に対して、学長より特別表彰が行われ、賞状、ならびに記念品が授与されました。

[放送・メディア映像学科]
・稲内 萌さん

[現代社会学科]
・田上 小夏さん

[食物栄養学科]
・代表学生1名

[人間生活学科]
・田村 美津樹さん

●一般社団法人 全国栄養士養成施設協会 会長賞
・永田 澄代さん

●公益社団法人 日本介護福祉士養成施設協会 会長賞
・羽室 亜紀さん

●現代社会学会・学生賞受賞者
※羽衣国際大学・現代社会学会より、優秀な論文執筆や作品を制作した者に対し、「現代社会学会・学生賞」が授与されました。

[放送・メディア映像学科]

・畦原 研史さん

[放送・メディア映像学科]

・塚原 尚樹さん

●在学生代表 送辞
・久田 幸一さん

●卒業生代表 答辞
・前田 阿沙弥さん

●卒業生代表 記念品贈呈
・藤田 早紀さん

 


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