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棚山研教授の編著書『変容するスポーツ政策と対抗点 -新自由主義国家とスポーツ-』刊行2020年10月10日

現代社会学部の棚山研教授の編著書『変容するスポーツ政策と対抗点 -新自由主義国家とスポーツ-』が創文企画より2020年6月20日に刊行されました。

本書は、日本における新自由主義*的政策がスポーツの領域でいかに表れているのかを棚山教授ら6名のスポーツ社会学系研究者が分析し、その対抗の軸点について検討しています。

棚山教授は第1章「新自由主義の下でのスポーツ -『スポーツ市場15兆円』計画とスポーツ政策の過去・未来-」で、日本政府は「スポーツ立国の実現を目指し、国家戦略として」2011年にスポーツ基本法を制定し、「国家としてのスポーツの価値を認め、国民全てに『基本的人権としてのスポーツ』を保障する、高らかなマニフェスト」を発したものの、その後策定された「スポーツ基本計画を見ても、『スポーツ立国』とはいかなる国づくりなのか、明確ではない」と述べています。スポーツ基本計画やスポーツ未来開拓会議中間報告などの政策文書を詳細に読み解き、アベノミクスから東京オリンピック・パラリンピック招致までの約10年間に展開されたスポーツ政策を検証しながら、日本が真のスポーツ立国となるための課題提起、改革提言へと論考は進展します。「スポーツ庁など政権側は『オリ・パラ・トリクルダウン』のような発想をやめて、『する』『みる』『かかわる』を問わず、底辺のスポーツ人口をいかに拡大するかという発想に転換すべきである。そして、その取り組みは[中略]個々のスポーツ団体の民主的なガバナンスの確立と、その主体性すなわち創意工夫に任せることによってこそ、効果的に推進されるものであろう。」

スポーツ領域での新自由主義的政策に関する考究は世界でもまだ事例が少なく、本書は先進的な研究著書と言えます。


*新自由主義:「1980年代以降に世界的に支配的となった経済思想・政策の潮流。新自由主義はケインズ主義的福祉国家の所得再分配政策などがもたらす『過剰統治』と国家の肥大化こそがシステムの機能不全の原因として、規制緩和、福祉削減、緊縮財政、自己責任などを旗印に台頭した。」 [小学館 日本大百科全書(ニッポニカ)より抜粋]


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